① 事例
【被相続人】 夫(佐藤 一郎)
【相続人】 妻(佐藤 花子)、長男(佐藤 健一)、長女(鈴木 由美)
(すべて仮名)
【相続財産】 自宅の土地建物(約5,000万円)、預貯金(約2,000万円)
【ご相談の経緯】
夫である一郎さんが亡くなり、残されたご家族で遺産分割の話し合いが始まりました。すると、長男の健一さんが「自分が佐藤家を継ぐのだから、自宅は自分がもらい、さらに預金の7割も自分が取得する」と主張し始めました。
妻の花子さんと長女の由美さんが「それではあまりに不公平だ」と伝えても、健一さんは「長男が多めに貰うのは昔からの当たり前だ」の一点張りで、全く聞く耳を持ちません。
本人同士での話し合いは感情的な対立を生むばかりで完全にストップしてしまい、お困りになったお二人が当事務所へご相談にいらっしゃいました。
② 解決方法
【遺産分割調停の申立て】
健一さんが強硬な姿勢を崩さないため、これ以上の直接交渉は無意味と判断し、弁護士が代理人として速やかに家庭裁判所へ「遺産分割調停」を申し立てました。
【「審理モデル」による冷静な整理】
当事者同士の話し合いでは、どうしても感情がぶつかり合い、話が堂々巡りになりがちです。しかし、裁判所の調停では「審理モデル」という実務上のルールに従って、
①誰が相続人か、
②財産は何か、
③評価額はいくらか、
④どう分けるか、という順序で
ステップごとに議論を進めます。
これにより、単なる言い分のぶつけ合いを防ぎ、冷静に手続きを進めることができました。
【法定相続分をベースにした解決】
調停の話し合いの中で、健一さんの「家を継ぐから多くもらう」という法的な根拠のない主張は当然ながら退けられました。
調停委員も交え、「法定相続分(法律で定められた取り分)」をベースに分けるべきだと粘り強く説得を重ねた結果、最終的には健一さんも現実を受け入れました。無事に花子さんと由美さんは、ご自身の法定相続分に応じた適正な財産を取得して解決となりました。

③ 弁護士のコメント
ご家族同士の話し合いでは、過去の不満や「長男だから」といったご家庭独自のルールが持ち出され、論点が散らかってしまうことが非常によくあります。そのような時は、早めに調停を申し立てて、裁判所の「審理モデル」に沿って進めることが解決への近道です。
調停の場では「原則として法定相続分で分割し、その後に必要な調整をする」という合理的なやり方で進むため、法外な要求に振り回されることはありません。 さらに、もし話し合いがまとまらなくても、最後は裁判官が「審判」という形で強制的に結論を出してくれるという安心感もあります。
「相手が話を聞いてくれない」「無茶な要求をしてくる」とお困りの方は、ぜひお気軽に弁護士へご相談ください。