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裁判例ノック43~50本目 事故物件

弊所 弁護士・寺田の裁判例ノックですっ‼
皆さまに役立つ過去の裁判例を、ご紹介していきますっ‼

裁判例ノック43本目

京都地判H29.12.13
【概要】
今回から開始の事故物件。法律では、「心理的瑕疵」という分野になります。
初回は、縊死した賃借人の相続人に対し、損害賠償請求を行ったが、一部のみ認容されたというものです。

【結論】
賃借人は、自殺行為に及ばない善管注意義務を負っている。そのため、居室分の原状回復費・逸失利益については認められる。
しかし、居室以外の共用部や他の居室、土地については、自殺と因果関係があるとはいえず、善管注意義務違反があるとはいえない。
そのため、一部認容請求という結論。

自殺が、賃借人の義務違反となること、居室については、その対象となるが、居室以外は対象外となることがポイントといえます。
実務上よく問題になるのは、廊下等の共用部での自殺をどう扱うか、ということがあります。

【文責:弁護士 寺田 健郎】

裁判例ノック44本目

山口地判H29.11.28
【概要】
法人が借りて社員を住まわせていた貸室で、その社員が恋人とともに死亡。自殺を思わせるような状況もあったが、裁判所がこれを認めなかった事例。
オーナー側の立証のハードルが、かなり高そうな印象です。

【結論】
連名の遺書や、居室内に知人の指紋があり、車が出入りしていることから、心中を推認させる事実はあるといえる。しかし、遺書に署名をしていない不自然性等があり、ストーカーによる殺人や抵抗できないまま一方的に殺害された等、心中があったと認定することは出来ず、債務不履行とならない。

今後10年の価値が半分になったとして、賃料を求めた損害論の判断を知りたいところでした。しかし、損害論に入る前の債務不履行がない段階で、切られてしまいました。
オーナー側が心中であることを立証することは、高いハードルになりそうです。

【文責:弁護士 寺田 健郎】

裁判例ノック45本目

東京地判H29.9.15
【概要】
遺体の発見が遅れてしまったことにより、建物の契約が敬遠されると主張し、賃料相当損害金・原状回復費用のみならず、善管注意義務違反による損害賠償をも争った事案。
類型として多いものではないですが、実際の価値としては…、というところでしょうか。

【結論】
賃料相当損害金及び原状回復費については、賃貸人の主張を大筋で認めた。特に原状回復費は、通常より高めの金額であった。
一方、賃借人の死因は不明で、生前持病があった等の事情はなく、死を予見できたとはいえず、善管注意義務違反があったとはいえない。

オーナー側からすれば、腐敗した遺体による賃貸物件のダメージを請求したい心情は理解できますが、実務上難しいところでしょう。
もっとも、相場より高い原状回復費を、過失のない相続人に請求できるのは、不幸中の幸いといえます。

【文責:弁護士 寺田 健郎】

裁判例ノック46本目

東京地判H29.4.14
【概要】
賃借人の連帯保証人に対し、賃借人の死亡に起因する修繕費用とともに、主位的に不動産価値毀損分を、予備的に賃料についての逸失利益を求めた事案。
不動産価値の毀損や死亡に起因する修繕費用は、認められないという結果でした。

【結論】
賃借人の死亡につき、善管注意義務違反があることは認定。不動産価値毀損は、売却の予定もなく、時間経過で嫌悪感も薄れることから認定されず、逸失利益についても、時間経過を理由に3年以降の賃料減額は認めず、一部のみ認定。
その他原状回復費用については、認定された。

不動産価値の毀損と、賃料分どちらについても、時間の経過による嫌悪感の薄まりを理由に、認定が認められない部分がありました。
不動産価値の毀損については、認めた事例がなく、オーナー側にとって、厳しいといえそうです。

【文責:弁護士 寺田 健郎】

裁判例ノック47本目

東京高判H29.1.25
【概要】
オフィスビルのテナント従業員が共用部で死亡した事案につき、自殺を理由とする賃貸人の賠償請求を認容した第一審を破棄した事例。
原因が何か、場所との関係等、細かい認定がされた裁判例です。

【結論】
事故が、自殺か否かについて、自殺であると証拠上認定することは出来ず、自殺とは認められない。そのため、債務不履行による損害賠償請求として根拠を欠く。
仮に事故が賃借人の過失によるものとしても、共用部での事故と、事業用物件の貸室との因果関係は認められないと判断した。

自殺か否かは、証拠による部分はありますが、共用部での事故と事業用物件の貸室との関係は、納得してしまう部分があります。
共用部・事業用建物、どちらの裁判例がありますが、どちらも心理的瑕疵の対象とはならないイメージが強いです。

【文責:弁護士 寺田 健郎】

裁判例ノック48本目

仙台地判H27.9.24
【概要】
全12戸のマンションの一室において、転借人の同居人が自殺した事故が発生した事例。
当該事故について、他の部屋の入居者に対して、事故の告知義務はないため、損害との因果関係が認められないとされたものです。
オーナー側が、少し欲張りましたかね。

【結論】
転借人や保証人は債務不履行責任を、相続人は不法行為責任を、それぞれ負うことを認定。当該貸室について、これらの責任を負うが、それ以外の貸室については、告知義務があるとはいえず、責任は負わない。
また、インターネット等でうわさが広まったとしても、因果関係は認められない。

他の貸室についての損害賠償はできないという点はマイナスですが、入居者に対して告知義務がないという点はプラスに捉えることができそうです。
本件の管理人は、トラブル回避のために告知していたため、このような請求を行ったというもののようです。

【文責:弁護士 寺田 健郎】

裁判例ノック49本目

東京地判H26.12.11
【概要】
前回と同じく、転借人の同居人が自殺した事例のものです。
転借人が、転貸人のみならず、賃貸人に対しても義務を負うという判断がなされ、オーナー側にとっては、ありがたい裁判例になると思われます。

【結論】
自殺によって貸室に嫌悪感が生じ、入居が難しくなることは想定できるため、賃貸借上の義務として、自殺をしない善管注意義務はある。そのうえで、同居して生活状況を把握しており、転借人は自殺につき義務違反があると言える。
時間と誰かが入居すれば希釈することを踏まえ、1年の賃料等の損害はある。

転貸人だけでなく、元のオーナーも請求できるという点は、胸をなでおろす点といえます。もっとも、理由はこの裁判例だけではよくわからないところもありますが…。
時間と誰かが入居すれば嫌悪感が希釈する論理が、よく減額の根拠にもなりますね。

【文責:弁護士 寺田 健郎】

裁判例ノック50本目

大阪高判H26.9.18
【概要】
賃貸人が、居室内で自殺があったことを故意に賃借人に告げなかったことが、不法行為を構成するとされた事例です。
事実を告げないことが不法行為構成と認定されたことは、ポイントですね。

【結論】
契約当時、賃貸人は自殺の事実を知っていたという認定のもと、契約締結にあたって自殺の事実を告知する義務があるもののこれに反するため、不法行為を構成すると認定。
1年ほど前に人が亡くなったことは隠れた瑕疵にあたり、解除事由になるため、賃貸人の主張は認定できないとした。

事実そのものとしては、競売で買った数日後に居住者に死なれたもので、オーナーとしては、かなりかわいそうな事例ではあります。
しかし、オーナーである弁護士が、賃借人に告知をしないのは、また別問題。と、いうことですね。

【文責:弁護士 寺田 健郎】

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