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裁判例ノック36~42本目 原状回復

弊所 弁護士・寺田の裁判例ノックですっ‼
皆さまに役立つ過去の裁判例を、ご紹介していきますっ‼

裁判例ノック36本目

東京地裁H21.9.18
【概要】
ハウスクリーニング費用と鍵交換費用とを賃借人負担とする特約が、消費者契約法に違反しないとされた事例。
賃貸人勝利事例ですが、オーナーからすれば参考になる点は多くある例と言えます。

【結論】
特約として契約書に明記され、口頭で説明されていることから特約の合意は成立している。内容は賃借人にとって不利益にはなるが、合意があり、清掃の手間が省け、額も賃料の半分と合理的だとして成立を認めた。
鍵についても、合意と、防犯に資する点、額の相当性から特約の成立を認めた。

仮に不利益であったとしても、しっかりとした合意があり、賃借人に利益もあり、額が相当という考慮要素は参考になります。費目がはっきりし、適当な額であったことは大きいでしょう。
口頭で説明した証拠がばっちり残っているという点は、弁護士として気になります…。(笑)

【文責:弁護士 寺田 健郎】

裁判例ノック37本目

東京地裁H21.11.13
【概要】
更新料特約が消費者契約法10条・民法1条2項に反しないと判断し、通常損耗の範囲にも言及した裁判例。
賃借人がアグレッシブに戦った結果、多くの判断がされた内容となっています。

【結論】
解除は有効で、更新料特約は消費者契約法・民法に反しないと判断。
原状回復費用については、裁判例ノック24本目の最高裁判例を引用し、賃借人の負担をごく限定的に認めた。

更新料については、内容が相当であれば、否定はされにくい傾向にあるといえます。一方で、原状回復については、やはり最高裁の考えがベースになっています。
どちらにせよ、ここまで徹底的に争われると、オーナー側の裁判負担は重かったでしょう…。

【文責:弁護士 寺田 健郎】

裁判例ノック38本目

福岡簡裁H22.1.29
【概要】
賃借人が敷引特約を認識していたとしても、合意が否定された事例です。
額としてやり過ぎなきらいもありますが、本当に趣旨から理解してるかという点で判断されたものです。

【結論】
敷引特約は、通常損耗による修繕費に充てることを目的と認定し、通常損耗の範囲が契約書上明確であるとはいえず、その点まで合意があったとは認められない。
賃借人が合意した事実は認められるが、さらなる具体的な説明を受け、納得する必要があったと判断。

果たしてこれが一般的か…、と言われると難しいところです。
賃料と敷金、敷引のバランスが悪く、単に署名押印しただけで真に合意があったといえるか、不明なほどの金額であったことが大きいように考えられます。
がっつきすぎないことも、大事ですね。

【文責:弁護士 寺田 健郎】

裁判例ノック39本目

東京地裁H22.2.2
【概要】
賃貸物件の損耗が通常損耗とはいえないとして、未払使用料を含め保証金返還を認めなかった裁判例。
賃借人完全敗訴で1円の返還も認めない裁判例であり、かなりレアですね。

【結論】
建物の損傷として10か所程度が認められ、これらは通常損耗の範囲であるとは認められないため、賃借人の負担となる。また、未払の使用料及び共益費についても認められる。
これらを合計すると、保証金総額を超過しているため、賃借人に還付すべき保証金はない。

通常損耗と認められず、かつ、未払賃料もあるという賃借人が明らかに悪い事例ではありますが、賃貸人完全勝利です。
11年居住して、通常損耗と認められない損耗が、どのようなものか気になるところです。

【文責:弁護士 寺田 健郎】

裁判例ノック40本目

東京地裁H22.2.22
【概要】
敷引特約が、消費者契約法10条に反しないとされた裁判例。
消費者相手の敷引特約が有効とされた点で、賃貸人にとっては画期的な判決です。
単に結論ではなく、理由もしっかりと抑えたいところです!

【結論】
本件敷引特約は、賃借人の義務過重であり、消費者契約法10条前段は満たす。
もっとも、特約内容は、説明書等に明記され、消費者もネット等を通じ他の業者と比較検討できたため有利な立場と言い切れず、敷引料も賃料1カ月と相当額である。
そのため、同条後段を満たすと言えない。

説明書等の明記、敷引額の相当性は今までからも想定できます。
消費者の検索機能の上昇と他の業者との比較の容易性は、新たな目線ですね。
実際にどちらが有利な立場かというのは一考の余地があります。

【文責:弁護士 寺田 健郎】

裁判例ノック41本目

東京地裁H22.6.11
【概要】
今までとは一転、違約金支払条項が消費者契約法10条に反するとされた裁判例です。
一般消費者との賃貸ですが、なかなか動く金額が大きく、消費者保護に傾いた部分はあるように思います。

【結論】
日中仕事に行く大人2名が8カ月使用したものであり、通常損耗を超えるものが存在し工事が必要とはいえないため、クリーニング代以外は事務管理として認められる。また、違約金条項は一方的に賃借人の利益を害するため消費者契約法に反し無効となると判断。
合計122万円程度の請求認容。

賃料から高額な部類であり、額の大きい訴訟となりました。
敷金70万円で違約金と工事代は、やはりやりすぎという一面があるでしょう。
一義明確かつ内容として、合理的な条項で負担を求めることが鉄則です。

【文責:弁護士 寺田 健郎】

裁判例ノック42本目

最判H23.3.24
【概要】
原状回復シリーズの最終回です。
影響の大きい最高裁判例の賃貸人勝利事例です。
通常損耗についての原状回復費用を定額控除して賃借人負担とする特約が有効になった裁判例です。
どう判断したか、注目したいですね

【結論】
特約として敷引がなされ、その額が明示されている場合には、賃借人も明確に認識したうえで合意している。また、通常は賃料で充当される通常損耗についても、合意があればこれを排除されない。
消費者契約法10条について、賃料と敷引金、他の義務から高額過ぎるといえず、無効とはいえない。

消費者相手の敷引特約、通常損耗の控除するという内容を認めたという意味では、とても大きい判決だといえます。
もっとも、その内容は、しっかりと明記・ちゃんと合意・内容が合理的というもので、今までの裁判例と、特段変わるものではないですね。

【文責:弁護士 寺田 健郎】

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