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「かぼちゃの馬車事件」の全貌について、振り返る

事件の概要は?
 「かぼちゃの馬車事件」、大きく取り上げられたニュースですよね。
この事件を簡単に説明すると、シェアハウスのオーナーをサポートしている不動産管理会社が倒産したことで、シェアハウスに投資した不動産オーナーが大きな被害を被ったというお話です。

被害者の数は? なぜ引っかかってしまったの?
 この事件の被害者は、大手企業の社員、医療関係者、投資家など700人以上の被害者がいると言われており、総額は1000億円に上るとメディアで取沙汰されていました。

 発端はスマートデイズという不動産管理会社が、「かぼちゃの馬車」という女性専用のシェアハウス物件への投資を募ったことに始まりました。東京都内の中でもコスト競争力もあり、将来性も見込めたこと、不動産投資の資金はスルガ銀行が融資するというスキームで、オーナーは物件を自己資金なしで購入できました。
そしてスマートデイズはサブリースを用いて、家賃保証、集客代行を行いました。オーナーは、スマートデイズから払われた家賃からローンを返済する仕組みです。
このスキームは、一見すると投資家にとって「リスク」がないように見えたのでしょう。

サブリースの仕組みとは?
 キーワードになるのが、「サブリース」です。
サブリースとは「転貸借」のことです。つまり、シェアハウスを購入したオーナーは、シェアハウスの販売元であるスマートデイズに物件を貸し付けて、スマートデイズから家賃をもらいます。
そして、スマートデイズはオーナーから借り上げた部屋を末端の賃借人に貸し付けるのです。これがサブリースの仕組みです。
よって、スマートデイズが入居者集め、家賃保証をするため、オーナー側が空室リスクを抑えられるということで、この点も投資家にとっては、非常に魅力的に映りました。

実際の運営では、オーナー側はスマートデイズに物件を貸し出して、1部屋の賃料を毎月6万円もらっていました。そして、スマートデイズは6万円で借り上げた部屋を4万円で入居者に貸し出していたのです。
しかし、これでは2万円の赤字がスマートデイズに生じてしまいます。一体、この赤字をどのように補填するのでしょうか?
この赤字を補填する方法が、更なるシェアハウスを建築して、物件売却により利益を出す、その利益でオーナーに家賃を支払うという方法だったのです。

つまり、スマートデイズはシェアハウスである「かぼちゃの馬車」を建築、販売し続けてその利益を確保して、家賃支払いをする必要がありました。
これはまさに、自転車操業ということになります。

その後、スルガ銀行はスマートデイズへの融資を打ち切り、それによって自転車操業も続けられなくなり、スマートデイズは経営破綻しました。
これによって投資家たちは、賃料の保証を得られなくなりました。
賃料保障をあてにして投資したオーナーたちは、資金繰りが苦しくなり、破産者まで現れるようになったというのが一連の流れです。

被害者は泣き寝入りするしかないの?
 この事件では正確な実態は情報が不足していますが、たくさんの人が被害にあいました。
不動産は非常に複雑な知識が必要になるため、十分な信頼あるパートナー企業を見つけて、不動産投資に取り組むべきと言えます。

以上、「かぼちゃの馬車事件」でした。

【弁護士の一言】
 当時話題になった「スルガショック・かぼちゃの馬車事件」です。
まず教訓として覚えておくべきは、
・サブリース契約を締結したとしても、大家さんの空室保障は、「サブリース会社が破綻しない限り」のものである点、
・そもそもサブリース会社が違約してくれば賃料不払いの自体もあり得る、
ということです。

近年は、事故的なトラブルには賃料保証会社を利用して保証をかけられるようになったので、純然たる空室リスクは経営上の必要経費と割り切る考えも必要ではないかと思います。また、本件の顛末としては、スルガ銀行側が借金を肩代わりするような特殊な和解にて締めくくられましたので、また興味のある方は調べてみてください。

【監修 弁護士 山村暢彦】

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