2018年春頃、「かぼちゃの馬車」というサブリース業者が、経営状態が悪化し、オーナーへの賃料の支払いを中止したとニュースになっていました。
今回は、「もしも、サブリース会社が倒産したら」、その後の法律関係はどうなるの?というお話をします。
結論からいうと、サブリース会社が、倒産したり、経営が傾き、サブリース契約から離脱すると、「不動産オーナーと、実際の住人との間で、直接の賃貸借契約になる」可能性が極めて高いです。
サブリース契約は、又貸し契約(=転貸借契約)などとも言われているのですが、通常の又貸し契約(=転貸借契約)などと異なり、特殊な最高裁判決があります。
サブリース会社が、契約から離脱したとしても、
①住居を失いかねない住人の保護の必要性が高い、
②不動産オーナーとサブリース会社の共同事業のようなものだから、不動産オーナーも責任を負うべき、
といった理由で、不動産オーナーと住人との賃貸借契約が継続する、とされています。
「あれ? サブリース会社が、いなくなっても、賃借人(住人)との契約が続いたほうが、賃料収入を得られて、オーナーとしては助かるんじゃないの?」と、疑問に思われる方もいらっしゃると思います。もちろん、サブリース会社に任せたのに、入居者が全くいない段階で、サブリース会社が撤退して、空室ばかりの物件が残ることも悲惨です。
ですが、サブリース会社が、何とか経営を維持するために、「全ての部屋を相場の半分以下の賃料で、賃借人と契約していた物件」をイメージしていただけると、これはこれで恐ろしいのが伝わるでしょうか…?
空室ばかりの物件は、良い入居者を集めれば、オーナーが経営を立て直せる可能性が残りますが、不相当に低い賃料の住人ばかりいる物件では、経営の立て直しもできないのです。
「空室保障、安心・安全!!」と宣伝のサブリース契約も、一歩間違うと、本当に怖いものです。
【文責 弁護士 山村暢彦】