2018年春頃、「かぼちゃの馬車」というブランドで女性専用のシェアハウスをサブリースしていた不動産業者の経営状態が悪化し、オーナーへの賃料の支払いが中止した、とニュースになっていました。
サブリースというのは、たとえば空き地などに、
①不動産業者が、土地オーナーから10部屋のマンションを建ててもらって、
②不動産業者が20年間、10部屋の全てを借りて、
③その部屋を実際に住む人に又貸しする…、という契約を指すことが多いです。
オーナーは、20年間、不動産業者から固定で賃料をもらえるので、空室リスクや、賃料不払いに悩まなくて良いという、メリットがあります。
不動産業者のほうは、
⑴建物を建築してもらうところで利益を上げて、
⑵20年間10部屋を借りて賃貸管理するほうは、サービス的な意味合い部分が大きい、
というのが、一般的なサブリース契約の収益構造です。
オーナー側からすると、業者が必ず固定賃料で借りてくれるので、「素人でも安心して賃貸経営できる…」、というのが一般的な触れ込みですが、その借りてくれる業者の経営が傾くと、契約内容がどうであろうが、実際払ってもらえない、というデメリットがあります。
正確には、「そのサブリースの不動産業者が倒産しない『限り』、20年安心して賃料がもらえる」ということなんです。
『かぼちゃの馬車』騒動は、まさにこのサブリース業者の経営が傾いてしまって、オーナーが困った事態に…、悪ければ破産に…、ということで、問題になっていました。
「詐欺だ!」なんていう声もあったりしますが、契約自体はおかしいものではないですし、実際にサブリース契約自体は、昔から行われています。
弁護士が言うのもなんですが、「契約が、常に守られるわけじゃない」というのを、教訓にしたほうが良いニュースだと思いました。
【文責 弁護士 山村暢彦】