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自筆証書遺言はおすすめ? 自筆証書遺言の改正と保管制度

 ご自分の預金や不動産などの財産、または借金などの債務を残したまま亡くなると後世に残された配偶者や子供に相続されます。相続される割合は法律で決まっていますが、遺言を残すことによって、割合や誰に何を相続させるかなど、相続財産を受け取る人の指定をすることができます。

 今回は近年、法改正があった自筆証書遺言の作成方法と法務局での遺言保管制度を解説していきます。
 改正によって、自筆証書遺言は使いやすくなったのでしょうか。これから遺言を残したい、配偶者や子供のために自分の意志を残しておきたい、という方の参考になれば幸いです。

【自筆証書遺言って何?】
 自筆証書遺言とは呼んで字のごとく、自筆で作成する遺言です。
 今までの民法では「全て手書きで書くこと」とされていました。財産を沢山持っている方が詳細に書こうとすると遺言は長文になることが多く、全て手書きで書き上げるのは大きな負担になることがあります。民法改正によって、財産目録については手書き以外でも許されることになりました。全て手書きしなくてはならなかったときに比べると、負担は軽減されたと思います。

 自筆証書遺言と比べられるのは、公正証書遺言です。
 公正証書遺言とは公証人の面前で一緒に遺言を読み上げ、内容を確認したうえで作成する遺言です。公証人以外に証人も2名が立ち合います。公正証書遺言は公証役場で保管されるため、遺言の改ざんや破棄されることがありません。また、自筆証書遺言は家庭裁判所での検認が必要になりますが、公正証書遺言は検認が必要ありません。方式の不備で無効になることも、ほぼありません。公正証書遺言は自筆証書遺言に比べ、確実性が高いものになります。しかし、公証役場に費用を支払う必要があります。

【遺言の保管制度の新設】
 自筆証書遺言を法務局に保管できる制度が2020年頃からスタートしました。こちらの制度のメリットや特色を解説してきます。

 まず、法務局に保管しておくことで偽造や書き換え、破棄されることを防止することができます。こういった事を防ぐことによって、遺言者の想いを後世に伝えることができます。
 次に、遺言書の検認をおこなわなくて良いというメリットがあります。自宅等に保管されていた自筆証書遺言が発見された場合、裁判所で検認手続きをおこなう必要があります。検認を経ないで遺言書を開封すると過料が発生する恐れがあります。また、検認手続きをおこなうことで遺言の偽造を防ぎ、今後の相続手続きで使用することができるようになります。検認手続きをおこなう際には、裁判所に検認の申立をおこない、相続人を集めて相続人の面前で開封をおこないます。法務局に遺言を保管している場合、こういった検認手続きを省略することができます。
 自筆証書遺言の保管制度は1回の申請に手数料が数千円程度発生しますが、よりしっかりと遺言を残したいと考えている方は保管制度の利用を検討されても良いかもしれません。

今回は以上です。最後までご覧いただきありがとうございます。

【弁護士の一言】
 弊所といいますか、私の考え方ですが、自筆証書遺言であれば、登記や銀行解約業務でエラーがでないように、非常にシンプルな内容で作成する。複雑なものであれば、公正証書遺言で作成する、ということを推奨しています。
 今回ご紹介した「財産目録をワープロで作成できる」というものも、便利になったものの要件が細かく、エラーがあったら遺言書全体が無効になりかねません。そのため、自筆証書遺言自体は文案自体をシンプルにしてエラーが出ない状態で作成するというのが、私は大事なポイントだと考えています。また、法務局の保管制度は、検認手続を省略でき、遺言書が滅失してしまう危険がなくなりますので、自筆証書遺言ならば積極的に利用すべき手続といえるでしょう。

【文責:弁護士 山村 暢彦】

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