現在、日本にはどの程度の数の不動産業者がいるのでしょうか?
その数は 123,782 業者という統計データがあります。更にこの4年間で、年々不動産業者の数が増えている傾向にあるようです(※記事作成当時)。
良い不動産業者に当たれば、とても気持ちよく取引を終えることができますが、すべての不動産業者がそのようなわけでもありません。国土交通省発表の平成28年度のデータでは、宅建業者の監督処分件数は年間251件あるようです。これらすべてが顧客サービスに関連するものではないにしても、法令順守が最も重要視されるべき業界の違反行為などは気になってしまいますよね。
今回はそんな不動産業者の中でも、特に注意すべき業者について解説いたします。
参考:国土交通省、都道府県による処分実施件数
http://www.mlit.go.jp/common/001202650.pdf
宅建業者には規制がある
そもそも不動産業を営む業者には、宅建業法という法律に基づいて、様々な規制が課されています。この規制に準じた営業をしている業者は、まじめに事業に取り組んでいると言えるでしょう。
しかし、以下のように、規制に違反しているような業者は、注意が必要です。
おとり広告の禁止
おとり広告とは存在していない物件や、実際にはその条件で契約できないような内容の物件公告を指します。
条件の良い賃貸物件を探す人が、広告内容を信じて釣られてしまい、口車に乗せられて意図しない物件に契約させられてしまうということが懸念されます。これらおとり広告は、宅建業法32条の誇大広告の禁止に該当します。
判断の時間を与えないのも、違法?
業者と契約交渉中に判断の時間を与えないことも、禁止されています。
まだ他の購入者が決まっていないのにも関わらず、「早くしなければ他の購入者に買われてしまう」、「即決してくれなければ、契約は難しい」など、相手に冷静な判断をさせない業者も要注意と言えます。
長時間の勧誘なども違法
希望に沿った物件ではなかったため、早く帰りたいのに家に帰らせてもらえない、「今回はやめておきます」といくら申し伝えても、しつこく勧誘を継続してくる業者、深夜や早朝、職場への勧誘の電話など、これらもすべて禁止事項です。
不実告知
不実告知とは契約の重要な部分について、実際とは異なる内容を伝えることです。例えば、駅まで15分かかる物件を10分などと告知することは、不実の告知となります。業者がその広告をわざと掲載したのか、それとも調査不足で間違えてしまったのかは関係なく、禁止事項になります。
不動産のトラブル。どこに相談すれば、いい?
まずは各都道府県の不動産に関する相談窓口を利用すると良いでしょう。しかし、中には悪質な業者のトラブルに巻き込まれてしまうケースもあります。
そんなときは弁護士に相談することで適切な解決手法を提示してくれますから、トラブルが大きくなる前に、相談してください。
【弁護士の一言】
不動産業者とのトラブルに関しては、「宅建協会の苦情申し出窓口」、または「弁護士」へというのが一般的でしょう。宅建協会で対処できるトラブル類型は不動産会社などによっても変わってきますが、まずは無料で対応してくれるので、覚えておきたい相談先です。
弁護士には相談料が発生してしまうことが多いですが、宅建協会の対応範囲を超えて、トラブルへの解決方針を相談できるでしょう。
【監修 弁護士 山村暢彦】