「心理的瑕疵物件」って何?
心理的瑕疵物件とは、(しんりてきかしぶっけん)と読みます。瑕疵とは不具合のことを指します。心理的瑕疵物件とは、いわゆるワケあり物件のことを指します。
<具体例>
・物件で自殺があった
・物件で殺人があった
・物件で事故死がある
・物件で事故、火災、重大な事件が起きた
・近くに暴力団の事務所がある
不動産そのものには、何の問題もありません。しかし、入居した人が心理的に負担や恐怖を感じてしまうような事実が過去にあった物件を心理的瑕疵物件と言います。
心理的瑕疵は告知義務があるの?
このような心理的瑕疵物件については、令和3年10月8日「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」が定められました。あくまでガイドラインなので、詳細なルール、法律というわけではないのですが、一つの目安になります。もともとは裁判例を参考に、不動産会社側としては、各社に応じて判断が分かれており、中にはトラブル化してしまう物件もあったので、ガイドラインにより少しでも紛争が減ることが期待されます。
判例 H26年9月18日 大阪高等裁判所
129戸のマンションの1戸で、1年数か月前に自殺が発生。その後に、新たな所有者がマンションを購入して貸し出しを行いました。そして、賃借人の入居が決まったが、契約締結時に自殺の事実を告げなかったことで、争いに発展しました。
なお、この判例に限っては賃貸人も購入時にその事実を知らなかったと主張しましたが、その主張は退けられました。
「1年数か月前に自殺があった事実は、当該物件に居住することを実際上困難にする可能性が高く、信義則上告知すべき義務がある」ということで、判決が下りました。
このように判例が出ていることを考えると、心理的瑕疵物件には事故の事実があった場合隠蔽することは許されず、1年数か月程度では、心理的瑕疵に十分値するという判断となりました。
購入した物件で孤独死があったことがわかった。どう対応すればいいの?
購入した物件が事故物件であるという情報を耳にした場合、更にその先を掘り下げるかは個人の判断となります。どうしても気になって確認するのであれば、不動産会社や大家さんに直接確認してみると良いでしょう。
また、物件を購入する際や、賃貸の入居時に異様に相場より安い物件は事前確認が必須と言えるでしょう。
【弁護士の一言】
現在は事故物件ガイドラインも定められ、事故物件だと隠すようなトラブルは減ってきている印象です。不動産会社としてもトラブルに巻き込まれるのが嫌なので、最初から説明しておこうという姿勢が多いと思います。また、事故物件専門の業者なども存在しますし、特に都内近郊であれば、事故物件であってもあまり値下がりしない傾向もあります。
意図的に隠したという事例よりは、病死、老衰後放置された場合など、「事故物件」に該当するかどうかの判定に疑義が生じるトラブル事例も多いといえるでしょう。
【監修:代表弁護士 山村 暢彦】