厚生労働省の平成27年度の調査結果では、日本人の離婚率は現在約35%と発表されています。これは3組に1組の夫婦が離婚することを意味しています。このように身近になった離婚ですが、この際にトラブルになる1つが、「不動産問題」です。
今回は、離婚時における不動産トラブルについて紹介いたします。
離婚によって夫婦の不動産は、どうなる?
離婚をする場合、夫婦の財産分与について話合う必要があります。現金・預金・株式など分配可能なものであれば、簡単に分割可能です。
しかし、不動産はその性質上、簡単に分割はできません。権利関係や評価方法が複雑な不動産は簡単に分割できないことから、財産分与の際に揉め事の中心となることが多いのです。
住宅ローンが残っている場合。どうする?
夫婦で購入したマイホームに、住宅ローンが残っている場合は、どのようにすればいいのでしょうか?不動産が夫婦の共有名義となっているときは、夫と妻のそれぞれに支払い義務があります。
まず決めなければいけないのが、「どちらか一方が、住宅に住み続ける」のか、「住宅を売却」するか、を決めることです。これを決めるには、次のように「住宅ローン残高」についても考慮しておく必要があります。
不動産価格>住宅ローン残高=アンダーローン
不動産の売却価格が住宅ローン残高より高くなる場合は、不動産売却して、その利益分を財産分与するという方法があります。この方法は手続きに要する時間を比較的短く抑えることできます。
もし、アンダーローンの状態で住宅を売却しない場合は、住宅を受け取らない夫婦の一方に、財産分与を考える必要があります。
このようなケースは、弁護士に早めに相談するのが得策と言えるでしょう。
不動産価格<住宅ローン残高=オーバーローン
不動産の売却価格より住宅ローン残高が上回る場合、夫婦の一方が住宅に住み続ける選択肢が取られることが多いです。この場合、一般的には住み続ける配偶者がローンを払い続けます。
注意点として、夫婦の一方が連帯保証人の場合、離婚が成立したからといっても連帯保証人であることには変わりないため、連帯保証人の変更の手続きも忘れずに行っておく必要があります。
離婚と不動産は複雑な関係であり、当事者で後々問題にならないようにするためにも、弁護士に早い段階で相談すると良いでしょう。
【弁護士の一言】
一般的には、新居を購入し、離婚時にはオーバーローン、すなわち、残債との関係で不動産売却代金のほうが下回る見通しのほうが多いといえます。そのため、どちらかが居住し続けるという話になりやすいのです。しかし、妻が住み続けたいとしても、金融機関の審査がおりず、返済名義や保証人を妻に一本化できないというケースが、多々あります。また、不動産を夫婦それぞれが融資を受けて購入するペアローンも、離婚して夫婦関係を解消しても、金融機関との関係でペアローンが解消できない、なんて話もあります。
「ペアローンが夫婦関係を繋ぎとめる」みたいな記事を見かけたことがありますが、逆で、ペアローンが離婚時の法律関係を複雑化しているようにも思えました。
【監修:代表弁護士 山村 暢彦】