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裁判例ノック7~10本目 原状回復

弊所 弁護士・寺田の裁判例ノックですっ‼
皆さまに役立つ過去の裁判例を、ご紹介していきますっ‼

裁判例ノック7本目 原状回復

東京簡裁H7.8.8
【概要】
 原状回復をする条項がある特約を結んでいたが、賃借人は建物賃借当時の状態に回復すべき義務はなく、条項の対象は通常による損耗以外のものとする裁判例です。
特約を結んだとて…、ですね。

【結論】
 原状回復条項があったとしたも賃借人は建物賃借当時の状態に戻す義務はなく、通常使用によって生じる自然損耗は、賃料として回収している。同条項は、故意・過失、通常ではない使用をしたために、発生した場合の損害の回復について規定したものと解すべきで、賃借人の請求を全面的に認容されました。

 特約を結んだとしても、通常の使用による損耗を賃借人に負担させることは難しいと一般的に考えられます。
家賃の設定や特約の有無等、不動産の運用としてトータル的に考えることが必要かもしれません。

【文責:弁護士 寺田 健郎】

裁判例ノック8本目 原状回復

京都地裁H7.10.5 (原審京都簡裁H6.11.22)
【概要】
 クロスや襖等所定の修理・取替に関する費用は借主負担とする特約を結んでいたが、その特約の趣旨は賃貸借期間継続中の貸主の修繕義務を免除したものであり、借主の原状回復義務を定めたものではないとする裁判例です。

【結論】
 地裁においても、原判決は相当としました。
そのうえで、本件特約の趣旨は、賃貸借契約継続中における賃貸人の修繕義務(現民法606条1項)を免除することを定めたものと解されると判断されました。そのため、目的物返還に際しての通常損耗は賃貸人の負担とすべきと判断しています。

 結論が厳しいのは、今までの裁判例と変わらずですが、いろいろなことを言ってくれています。賃貸借契約中の修繕義務免除のための特約であったり、賃料や更新料等様々な支出とのバランスであったり…。
原状回復のみで捉えず、トータルでのリスクマネジメントの必要性を感じますね。

【文責:弁護士 寺田健郎】

判例ノック9本目 原状回復

横浜地裁H8.3.25 (原審保土ヶ谷簡裁H7.1.17)
【概要】
 カーペット・天井等に付着したカビによる染みは、通常の使用によるものではなく、賃借人の負担をすべきとする事案です。
今回は、特約や原状回復の問題ではないです!

【結論】
 カビによる染み以外は原審を維持しました。カビによる染みは、同一建物内の別の建物修繕ではカビは発生しておらず、新築でカビが発生しやすい状態であったとしても、賃借人の管理に問題があったと認定されました。そのため、通常の使用による損耗にあたらず、一定程度賃借人の負担を認めました。

 今回の裁判例は、特約や原状回復義務の範囲の問題ではなく、損耗が賃借人の責任によるものか否かという事例の判断です。同じような他の建物と比較して、どのような使用態様であったのかを把握することは、とても重要です。

【文責:弁護士 寺田 健郎】

裁判例ノック10本目 原状回復

伏見簡裁H9.2.25
【概要】
 原状回復義務ありとするには、義務負担の合理性・必然性が必要であり、それを賃借人が認識し、義務負担の意思表示をすることが必要と判断した。義務負担の合理性・必要性という要件が加重され、賃貸人にとってかなり厳しい内容です。

【結論】
 賃借人の責めに帰すべき事由によるものは、賃借人負担です。もっとも、内装等を賃貸開始時の状態に復する義務ありとするには、原状回復費用という形で実質的賃料を追徴する合理性・必然性があり、賃借人がそれを認識し、義務負担の意思表示をしたことが必要と判断されました。
本件ではそれらがなく、反訴棄却です。

 賃貸開始時の状態に復する、という重い義務についてではありますが、賃貸人にとっては厳しい判断です。
合理性・必然性が、具体的にどのような場合に認められるかは今回は不明ですが、認められにくいと考えます。

【文責:弁護士 寺田 健郎】

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