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裁判例ノック31~35本目 原状回復

弊所 弁護士・寺田の裁判例ノックですっ‼
皆さまに役立つ過去の裁判例を、ご紹介していきますっ‼

裁判例ノック31本目

神戸地裁H21.1.21
【概要】
賃借人が負担する特別損耗の修繕費用において、減価分を考慮した裁判例。
特別損耗であることを理由に修繕費用全額を認めてもらえないのは、賃貸人側としてはかなり厳しいところです。

【結論】
特別損耗を除去するための補修を行ったことで、方法が同一であるため通常損耗をも回復した場合、賃貸人が負担すべき補修をも賃借人が負担することになるため、補修額全体から通常損耗による減価分を控除した残額のみ賃借人が負担すると判断。
クロス張替えを特別損耗として10%の負担を認めた。

法律的にはどちらの結論も考えうるなか、賃貸人にとって不利な判決が出たのは、やはり賃貸借という分野の特殊性でしょうか。
長年同一人物に貸すと、安定した賃料は入りますが、原状回復は目も当てられないことになりますね。

【文責:弁護士 寺田 健郎】

裁判例ノック32本目

東京簡裁H21.5.8
【概要】
庭付き一戸建て住宅の賃貸借において、庭の草刈り、松枯れについて善管注意義務違反があったとして賃借人の負担を認めた事例。
賃借人勝利事例です。
事実を見ていくと、やはりバランスがしっかりと、とられている印象です

【結論】
庭付き一戸建てにおいて、庭や植栽も賃貸借の目的物に含まれることが当事者の意思に合致するとして、植栽については、具体的な約定がなく、善管注意義務違反はないとした。草取りは、明らかに生い茂っており、管理がされていないとし、松枯れは原因不明であるが状態を通知すべき義務があるとした。

庭や植栽が賃貸借の対象となる前提のもと、賃借人にはできないことは負担とせず、賃借人がすべきであった一般的内容を負担させるという、しっかりとした裁判例である印象です。
原状回復については、善管注意義務の内容を、どう認定できるかによりますね。

【文責:弁護士 寺田 健郎】

裁判例ノック33本目

東京地裁H21.5.21
【概要】
賃借人がハウスクリーニング代を負担するという特約が、有効になった事例。
賃貸人側勝利事例です。裁判例ノック24本目の最高裁判決が、またも引用されています。

【結論】
裁判例ノック24本目の最高裁判決を引用。
ハウスクリーニング代を賃借人負担とする本件特約は、契約書に明記されており、その旨も一義的に明らかといえるから、これは賃借人負担と認めた。
その他、通常損耗についての特約はなく、敷金に充当されるものとされないものをそれぞれ認定した。

業者によるハウスクリーニング代と、一義的に明確な内容を明記し、その内容・代金も相当であったことから認められたと考えられます。
過大な負担を負わせたいがために、ふわっとした条項を付けるより、地に足の着いたリスク管理を、ということですね。

【文責:弁護士 寺田 健郎】

裁判例ノック34本目

大阪高裁H21.6.12
【概要】
特別損耗修復によって、通常損耗まで修復した場合、その負担は全額賃借人が負うのでなく、通常損耗を差し引いた額を賠償すれば足りるとしたもの。
これまでの裁判例から見れば妥当ともいえますが、リスク管理の意味では、他の解決がある気もしますね…。

【結論】
特別損耗修復を行うと、通常損耗の修復も含むことになる場合、経年劣化を考慮して、すべて賃借人が負担するのは相当ではないとした。
もっとも、通常損耗のみを残す修復は物理的に不可能なため、通常損耗額を差し引いた状態まで修復すべき費用相当額を賃貸人に賠償すれば足りるとした。

特別損耗は賃借人、通常損耗は賃貸人負担を徹底する裁判所の姿勢からすれば、妥当な結論といえるでしょう。
ただ、特別損耗がある場合には、劣化を考慮して〇年以内の場合には、と合理的な範囲内の規定でリスク管理をすることも考えられるかと思います。
(現実的には難しいですが…。)

【文責:弁護士 寺田 健郎】

裁判例ノック35本目

東京地裁H21.7.22
【概要】
賃貸借契約終了時に敷金から控除された原状回復費用につき、賃借人の返還請求が認められた事例。
法的論点云々ではなく、裁判所が個々の費目について細かく事実認定をするんだよ、という裁判例です。

【結論】
フローリング、ビニールクロスの張替え、ダン襖片面の張替えについて、賃借人の責めに帰する汚損・破損であると認めた。
一方で、証拠から、その他(クリーニング費用等)は、賃借人が負担すると認めるべきでないとされた。

条項から、クリーニング費用を賃借人負担にすると読むことは難しい内容でした。加えて、費目について賃貸人側が細かく挙げて主張する必要があり、厳しい内容です。
リスク管理としての条項の定め方を考えないと、取れる金額だけでなく紛争になった際の負担も変わってしまいます。

【文責:弁護士 寺田 健郎】

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