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神奈川県の購入後物件の瑕疵トラブル  (買主側仲介業者さまのご相談)

相談事例:神奈川県の購入後物件の瑕疵トラブル(買主側仲介業者さまのご相談)
 ・買主仲介会社さまからご相談
 ・顧問企業先の早期のご相談
 ・紛争長期化を回避

【買主仲介からの相談】売買契約締結後に、買主さまからの相談
 先日、引渡しを終えた土地の買主さまから、以下の相談がありました。
  ・散水栓が固まって動かない、その周りの土が陥没しているが大丈夫か
  ・バルブ各種固まって動かないので有事の際に困る、ハンドルが腐食して欠けている
   (今、困っているわけではない)
  ・雑排水?用の配管が繋がっていない箇所がある。水路に水が溜まり、はけていない

 買主さまのご意見としては、知らなかったでは済まない範囲、もしくは、瑕疵担保責任の範囲では?という見解なので、修理希望です。

 それに対し、重説【重要事項説明書】には、「上下水の老朽化などにより配管の取り換えや補修が必要となる可能性があると記載」があります。気持ち的にはもちろん全て、売主側に対応して欲しいという要望ですが、売主側は対応を渋っています。
 この買主さまは、ややクレーマー気質で過去にも補修してもらった歴があります。(瑕疵ではない部分も…)
渋る背景には、こういった事情もあるかもしれません。

 この場合、売主・買主の意見ではどちらが通る内容でしょうか?

【弁護士からの回答】重説(重要事項説明書)の記載と、老朽化リスク
 本件の概要を伺ったところ、買主さま側の要求は、まず通らないです。
 重説(重要事項説明書)でその点が記載されておりますし、中古不動産であれば、基本的に物件に付随する設備の「老朽化のリスクは、価格に反映され、買主が対応するもの」として処理されるからです。

 御社(買主仲介会社)の立場を考えると、
  ・買主さまには、丁寧に説明しながらも法律的には通らない請求だと説明する
  ・提携している工務店等に、多少、安くやってあげられないか、聞いてみる
 これが精一杯だと思います。

【買主仲介からのご相談】老朽化以外の不備の責任追及は、どうか??
 やはり厳しい様子ですね。下水の配管が繋がっていない等の、老朽化が原因ではなさそうな部分も、同じく厳しそうでしょうか?

【弁護士からの回答】交渉の余地は残るが…、現実的には…
 強いて、この部分だけが、交渉の余地が残る部分だと思います。
ただ、先方は、
  ・老朽化に基づくものだと、(こじつけでも)主張してくるでしょうし、
  ・「水路に水が溜まり、はけていない」という状態を損害賠償金として、金額に反映するのは、裁判実務上、困  

難を伴います。

 そうすると、裁判費用なども考慮すると、正式な手続にて、相手に責任を追及するのは非常に困難な事案と言わざるを得ません。
 このような事案は、なかなか難しいとは思いますが、かかる旨よく話してもらう他ないと思います。

【弁護士の解説】
 中古不動産の場合には、細かい部分の瑕疵が、契約締結後、物件の引き渡し後に、明らかになることは少なくありません。ただ、中古不動産の場合には、このような瑕疵を完全に把握することも難しいので、一般的には、細かい瑕疵について、売主側に免責特約を付けます。

つまり、買主側としては、中古不動産として、安い金額で購入できる代わりに、細かい瑕疵については自分で責任を負うという形を取るのです。

もっとも、不動産が倒壊するような大きな瑕疵であれば、その責任は売主側に追及できる余地も生まれますし、何より、そのようなリスクを負いたくないのであれば、契約書、重要事項説明書において、免責特約について認めない、などと話す、もしくは、そのようなリスクを負う代わりにと、金額面で有利に交渉する、といった対応が必要です。

契約締結前においては、金額面での交渉事項になりますが、
契約締結後においては、法律的な紛争事項になるのが、不動産取引の特徴です。

☆教訓☆
  ⇒中古不動産購入時には、瑕疵についてリスクを負うことも
  ⇒それらリスクも、価格交渉に反映すること

【文責 弁護士 山村暢彦】

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