不動産取引における土地購入のトラブル事例とは?
不動産取引は高額な場合が多く、その取引内容も複雑なことから、トラブルに巻き込まれてしまうことがあります。今回は、不動産取引での気を付けるべきトラブル事例についてご紹介いたします。
登記簿上の面積と実測が違う
住宅所有目的で土地を購入した場合、登記簿記載の面積と実測面積が異なるというトラブルが想定されます。面積のずれが大きければ希望の間取りで住宅を建てられないなど、不測の損害を被る恐れもあります。
登記簿上の面積と実測面積の誤差は、決して珍しいことではなく、誰にでも起こる可能性があります。また、場合によっては面積が明確でない以上、金融機関で抵当権設定時に担保価値の特定が難しく、住宅ローンの審査が下りないこともあります。
対応策としては再度、測量し直したうえで、境界立ち合いを実施して、登記簿上の面積を更正します。
実測売買と公簿売買で想定されるトラブル
土地購入での売買形態には、実測売買と公簿売買の2種類が存在します。
実測売買は、仮で登記簿上の面積で価格決定を行い、その後測量を実施して、実測面積の差額を清算する方式です。
注意したいのは、登記簿上の面積よりも土地面積が少ない場合、価格は安くなります。しかし、登記簿面積より実測面積が大きければ当初想定していた金額よりも高くなってしまうことが懸念されます。
公募売買は、登記簿記載の土地面積で価格が決定します。
但し、実測面積との差が大きくても、登記簿上の面積で価格が決まってしまいます。
手付金のトラブル
不動産取引では、手付金を支払う形態が多いです。
代表的な手付金は、解約手付です。
買主は手付金を放棄することで、契約を解除できます。
売主は手付金の2倍の金額を買主に支払うことで、契約解除が可能です。
手付金の価格は売買価格の20%が相場です。
問題となるケースは、業者に手付金を支払いした後に倒産されてしまうケースです。しかし、このような場合も泣き寝入りする必要はなく、保証会社等による保証、保険会社の保険によって手付金は保証されます。
取引時に、不動産会社が手付金に関する保全措置を行っている業者か、というのは確認しておくべきと言えるでしょう。
私道を含む土地のトラブル
私道負担とは、土地から公道に直接つながる道がないため、他社の私道を通らなければいけないことを指します。
土地に自らの所有権がなければ、私道の所有者に通行料を支払わなければいけないことが考えられます。
土地について、道路の持ち分権までついてくるのか、私道管理において近隣住民との決まり事があるかなど、十分確認するべきでしょう。
私道負担付きの物件は一般的に買い手がつきにくく、再度売却するにしても安値となる可能性が高いため、注意が必要です。
今回のように、
①登記と実際の面積がずれている、
倒産とまでいかずとも、途中でトラブルが生じ、
②手付解約のトラブル、
③私道の利用関係のトラブルは、
不動産取引上、頻発するトラブルです。
避けるための手段としては、余裕をもったスケジュールを組み進めていくことです。
不動産会社側としても、焦らず余裕をもって進めると共に、トラブルになる前に「法的に」どのように対応すれば良いのか、専門家に確認の上、進めていくべきでしょう。
【執筆 松本和博 (宅地建物取引士試験合格)】
【監修 弁護士 山村暢彦】