説明不足によって、損害が発生することもある
不動産売買取引においては、仲介業者を挟んで取引を行います。関わることになる宅建業者は、宅建業法に基づき、「説明義務」を負っています。
この説明義務は、宅建業法第35条に規定されています。
第三五条 宅地建物取引業者は、宅地若しくは建物の売買交換若しくは貸借の相手方若しくは代理を依頼した者又は宅地建物取引業者が行う媒介に係る売買、交換若しくは貸借の各当事者(以下「宅地建物取引業者の相手方等」という。)に対して、その者が取得し、又は借りようとしている宅地又は建物に関し、その売買、交換又は貸借の契約が成立するまでの間に、宅地建物取引士をして、少なくとも次に掲げる事項について、これらの事項を記載した書面(第五号において図面を必要とするときは、図面)を交付して説明をさせなければならない。
いわゆる、不動産取引における「重要事項説明」と呼ばれるものです。この重要事項説明とは、契約に関する重大事項を取引の相手方に、業者側が説明するものになります。
不動産取引は権利関係や契約が複雑であるため、お客さま側の不測の損害を防ぐために、法律で義務付けられています。お客さま側は説明内容に納得できないことがあれば、契約を締結しない自由が認められています。
このように重要事項説明で虚偽の説明や、間違った説明・説明不足があった場合は、損害賠償請求を検討する必要があるでしょう。
損害が認められた事例
用途地域についての説明不足・虚偽説明について(宮崎地裁判決2000年10月11日)
買主が土地付き建物を購入する際の重要事項説明で、説明不足・虚偽説明があった事例です。
この物件は、市街化調整区域という建物の建築や改築に法令上の制限が生じる地域の物件でした。しかし、それにも関わらず業者は具体的な制限を説明しなかっただけでなく、買主には建て替え可能であると説明していたのです。
結果的に、このケースでは業者側の説明不足が認められ、損害賠償請求が認められました。
説明不足や虚偽説明の業者には、どのような罰則があるの?
重要事項説明に義務違反があった場合は、指示処分、業務停止処分、最も重い場合は宅建業免許の取り消しを受ける可能性があります。
重要事項説明は宅建業において、非常に重要な義務として位置付けられているのです。
【監修:弁護士 山村 暢彦】