貸し事務所や店舗における賃貸借契約は、入居・退去時にトラブルが発生するケースが、しばしばあります。
今回はこのような事業用賃貸借についての入退去のポイントについて、ご紹介します。
テナント向けの賃貸借契約で注意すべきポイントとは?
テナント向けの賃貸借契約において気を付けるべき点は、解除条項、原状回復、修繕義務、敷金、についての項目です。
解除条項
解除条項とは契約の終了に関することです。解約の予告はどのタイミングか、更新が拒絶されることがあるかなどの点はチェックしておく必要があるでしょう。例えば、退去予告期間が3か月で、その間の賃料は支払う契約を結んでいて、事業者側が1ヵ月で勝手に退去して、残りの家賃を支払わないなどのトラブルが想定されます。
解除や契約の終了に関する条項については、退去予告期間、退去予告期間の家賃支払い、退去時のスケジューリングも考慮された内容になっているか、確認をしておきましょう。
原状回復や修繕義務について
事業用賃貸借において、最もトラブルになりやすいポイントが、原状回復に関する条項です。
原状回復の範囲について、原状回復にかかる工事費用の問題などが生じて、トラブルになることがあるのです。また、原状回復は業者側が工事業者を発注する場合など、貸主側は、どのように原状回復されるかを把握することができません。
原状回復時は双方で立ち合いをすることをおすすめします。
敷金
敷金の返還金額、返還の時期を確認しましょう。
債務不履行解除でなければ、原状回復工事費用を差し引いた金額が手元に戻ることになります。
金銭の動きがある部分はトラブルが多いので特に注意が必要です。
合意した内容は、必ず書面化する
これらのトラブルを防ぐには、契約書に合意内容を具体的に記載しておくことが大切です。
いい加減な契約書では、トラブルを招いてしまうだけです。相手の用意した契約書に一方的にサインするなどは、避けるべきです。
事業用賃貸借の契約書は、深い法律知識と実務経験なしでは作成することは難しいため、弁護士等に契約書のアドバイスをもらうなど、十分なトラブル予防策を講じておく必要があるでしょう。
【監修:弁護士 山村 暢彦】