前回、前々回のコラムを、一言で言い直すと、
契約書の内容は、
①トラブルが起きた際のスタートポジションを決める、
②契約書が有利だと、「裁判のときに強くでられるので、その前段階の交渉でも強くでられる」と、
いった内容でした。
では、実際に契約書を記載するときに、どんなことに気をつけるべきでしょうか?
一番は、特約事項など、通常の売買と異なる約束があって、それを書いてないために、「言った言わない」のトラブルが生じることです。
典型的な売買契約の内容からずれてくること、例えば、売買に先立って、親御さんとの関係で権利を整理するなどの条件が付く場合や、一方が、海外にいるので、支払期限を融通して欲しいといった話しは、契約書の特記事項や、簡単な覚書などでも、「まずは書面で残す」、というのが一番、大事です。
もちろん、取引ですから、お互い信頼感をもって進めることも大切なのですが、弁護士沙汰・裁判沙汰になることの多くは、難しい条項の記載が不充分だったからではなく、約束していた内容を書いてなかったから起きるというのが、経験上、非常に強く感じるところです。
仮に、覚書などの署名捺印取るのが、難しいケースなら、メールや、(携帯電話の)ショートメッセージなどでも、「後から他の人が読めるもの」で、残すことが大切です。
「証拠」というと、難しくて、厳格なものに感じるかもしれませんが、「誰が、誰に対して、何を言ったか。」分かるようなものなら、ラインでも、メールでも、証拠になるのは、裁判所でも日常茶飯事です。
次回は、契約書の「書き方」で、気を付けることをご説明したいと思います。
【文責 弁護士 山村暢彦】