不動産取引に携わっていると、多かれ少なかれ、トラブルは生じてしまいます。ちょっとした説明の不足、忙しくて粗雑な対応をしてしまった、クレーマーに近いお客さまも、いるかもしれません。
そんなとき、どうやって解決しているでしょうか?
まずは、話し合いです。
それは、弁護士も同じですし、裁判になっても同じなのです。
裁判の大まかな流れをご説明すると、
①書面、証拠での戦い
②話合い(和解の検討)
③尋問(当事者の証言)での戦い
④話合い(和解の検討)
⑤判決、です。
そして、特に①書面、証拠での戦い、②話合い(和解の検討)で、決着がつくことが非常に多いです。
これは、双方の弁護士が主張を尽くし、証拠をみた段階で、裁判官が、このトラブルは「8:2」でこちらが勝つとか、「3:7」で相手が有利ですよといった、見通しを教えてくれるからなんです。
つまり、テレビドラマなどのイメージと違って、現実の裁判は、ドラマチックでも何でもなく、当初から明確に存在する書面上の証拠によって、大きく勝ち負けが決まってしまうものなのです。
そして、前回ご説明したように、不動産取引の勝ち負けを大きく左右する大事な証拠は、「契約書」です。なので、トラブルを防ぐため、トラブルになったときに勝つためには、何と言っても、契約書をしっかりと、作成することが本当に大切なのです。
「あれ、勝ってるほうは、もっと勝てたり、負けてるほうは、挽回できるかもしれないのに、なんで和解しちゃうの?」と疑問に思われた方もいるかもしれませんが、それは、裁判は非常に時間がかかる手続だからです。
①や②の段階まででも、少なくとも、半年程度かかるのが一般的です。⑤の判決までは、少なくとも1年コースです。そして、負けている側が、「死なばもろとも!!」と、徹底的に戦うと、控訴といって裁判の2回戦に突入します。こうなると、数年コースです…。
2回にわたって、契約書の重要性を、お話しさせていただきました。
次回からは、典型的な契約書の注意したほうがよい記載について、お話しさせていただきたいと思います。
【文責 弁護士 山村暢彦】